07. バイトセンサの動作

バイトセンサによる表現機能には、①Swing、②Track Bend、③Reed Bendの3つのモードがあります。Swing⇒Track Bend⇒Reed Bendの順に音程の維持のために技量が求められます。設定には以下の3つの設定画面を利用します。

  • MWiCの設定: 08 Bite-1 (モード選択を含む主要設定)
  • MWiCの設定: 09 Bite-2 (拡張データ)
  • MWiCの設定: 10 Bite-3 (感度・カーブ)

Swingモード

 バイトセンサの値の増減速度(微分)を音程変化に利用するモードです。挙動としてはAkai ProfessionalのEWIデバイス等と類似です。意識的な入力を加えなければ正しい音程に戻ろうとしますので意図せぬ音程変化が生じにくく、必要な時だけ音程を変化させることができます。バイトセンサの利用目的がビブラートである場合に適したモードです。短時間で正しい音程に戻るのが利点でもあり、制限事項でもあります(音程を変えっぱなしにはできません)。

Track Bendモード

 バイトセンサの値そのものを音程変化に利用するモードです。ただし無音から発音するタイミングで正しい音程になるように補正します。発音時からアンブシュアをキープ、あるいは意図的に変化させることで音程のコントロールが可能です。発音の瞬間と違う噛み具合になればずっと音程は変わったままになりますので、意識して音程をコントロールする必要があります。

 バイトセンサのカーブには、中央付近で平坦な(ピッチベンドしない)カーブが準備してあります。Track Bend(およびReed Bend)モードでは平坦部ありのカーブを使うことが現実的な選択です。

 Swingモードと違って、Track BendモードやReed Bendモードでは音程を変化させた状態を維持することができます。ただしTrack Bendモードでは発音の最初が必ず正しい音程になるため、サックスにおける"しゃくり"を再現することはできません。

Reed Bendモード

 バイトセンサの値そのものを音程変化に利用するモードです。Track Bendモードと異なり、発音時の補正を行いません。MWiCの設定:10 Bite-3におけるカーブと最小値・レンジを緻密に設定し、アンブシュアを細心の注意でコントロールすることで、リードへの入力によって最も多彩に音程を変えることができます。リリコンやヤマハのWX系デバイスはこのタイプのバイトセンサ動作とのことです。理屈の上では"しゃくり"を含めた多様な表現が可能ということになります。表現の幅の広さの反面、唇の圧力と耳からの音という限られた情報で音程を制御する必要があります。この動作モードは演奏が難しいのですが、センサカーブを柔軟に調整できる点がMWiCのアドバンテージです。

※ReedBendモードにおけるバイトセンサ較正

 Reed Bendモードではバイト用圧力センサのゼロ点がずれると音程がずれてしまいます。一方、MWiCでは構造上、ミクロな引っかかりや密封の不完全性によるゼロ点ずれが避けられません。そのため演奏の合間に、"オクターブローラーから指を離す"など、通常行わない動作をトリガとして、瞬間的にゼロ点較正を行うことができます(トリガ設定はMWiCの設定: 08 Bite-1内)。アンブシュアを緩めてからバイトセンサのゼロ点較正を行うことでバイトセンサのリセットができる、というわけです。Reed Bendモードでの運用のためには、この圧力センサのゼロ点補正も使いこなす必要があります。